脳卒中後、死んだ脳細胞はどうなるの?
脳卒中になると、脳の一部が傷ついて脳細胞が死んでしまいます。脳細胞が死ぬことで、脳と体をつなぐ神経伝達がうまくいかなくなり、体の動きに障害が出たり、言葉がうまく話せなくなったりすることがあります。でも、脳はただ死んだ細胞を放っておくわけではなく、その後も修復のためにいろんな働きをしています。
1. 死んだ脳細胞の片付け
脳の中には「マイクログリア」という細胞があり、死んだ脳細胞を食べて取り除きます。これを「掃除(そうじ)」のような作業と考えてください。死んだ細胞をきれいに片付けることで、脳がもっと健康的に機能するための準備を整えます。

2. 壊れた場所を守る
死んだ脳細胞の周りには「アストロサイト」という細胞が集まり、傷ついた部分を囲んで守ります。これにより、脳の他の部分がさらに傷つくのを防ぎます。しかし、この守りは新しい脳細胞を作るものではなく、あくまで「傷を広げないようにする」役割です。

3. 脳の修復(しゅうふく)
脳には「神経可塑性(しんけいかそせい)」という特別な力があります。これは、壊れた部分を他の元気な脳細胞が少しずつ補っていく力のことです。たとえば、腕をケガして使えなくても、他の手で物を持つことができるように、脳も他の部分で失われた機能を補おうとします。

4. 最後に残るもの
死んだ脳細胞がある場所は、最終的に空っぽになったり、傷跡(きずあと)が残ったりします。この部分は再生することはなく、別の方法で補われることになります。脳はこの部分を「使わない」ようにして、他の元気な部分が代わりに働くようにします。
その後どうなるのか?治す方法はあるのか?
脳卒中後、脳細胞が死んだ場所やその周りは、最初はうまく機能しません。しかし、脳の「神経可塑性」を活用して、次第に他の部分がその機能を補おうとしていきます。ここで大事なのは、リハビリや訓練をすることで脳を刺激し、神経可塑性をさらに活かすことです。

リハビリには長い時間を要しますが、必ず効果は実感できます。
私は利き腕の左腕が麻痺してしまい当時は箸ももてませんでしたが、3年前に8kgだった握力も握るだけなら30kg超えるまでは回復しました。
まだ思いどおりにはなりませんけど、毎日頑張って料理してます。
1. リハビリの重要性
脳卒中後、リハビリはとても重要です。運動をすることで、脳は「動かさない部分」を使うようになります。このとき、新しい神経経路が作られたり、神経細胞が再び働き始めたりすることがあるからです。たとえば、手を動かすリハビリをすると、動かせなかった手の機能が少しずつ戻ることがあります。
2. 脳の回復は時間がかかる
脳卒中後の回復には時間がかかります。初めて脳細胞が死んだ場所がわかると、その後すぐに機能が元に戻るわけではありません。でも、時間をかけて、少しずつ回復していく可能性があるのです。これは脳が自分で修復しているからです。
3. 脳細胞の再生を助ける食事
脳細胞の回復には、栄養がとても大切です。脳が元気を取り戻すためには、特に「オメガ3脂肪酸」や「抗酸化物質」を豊富に含む食べ物を食べることが効果的です。これらの栄養素は、脳の細胞膜を強化し、神経伝達の働きをサポートしてくれます。
- オメガ3脂肪酸(例:サーモン、マグロ、ナッツ)
- 抗酸化物質(例:ブルーベリー、緑茶)
これらを食べることで、脳が再建される手助けができるかもしれません。
4. 新しい神経経路の作成
脳はリハビリを通じて、新しい神経経路を作り、少しずつ失った機能を取り戻そうとします。
この過程を「神経の再生や再建」と呼ぶことがありますが、完全な回復は難しいこともあります。それでも、新しい経路が作られることで、生活の質を改善することができるんです。

まとめ
脳卒中で死んだ脳細胞は、脳の中で少しずつ片付けられ、周りの細胞によって守られます。その後、神経可塑性という力で、脳は少しずつ元気を取り戻そうとします。リハビリや食事で脳を刺激し、栄養を補うことで、回復の速度を早めることができます。時間がかかることもありますが、脳は確実に頑張って修復しようとしているのです。

材料ないと「う回路」も作れないからね。

食って、疲れて、寝ての繰り返し。
地味な作業やなぁ・・・。

見た目は手や足はつながってはいても、神経的には一度もげて切れてしもたのと同じようなダメージだからね。治すには簡単ではないよね。
参考文献
- “Stroke Recovery and Rehabilitation” by Richard C. Senelick, M.D.
- この本では、脳卒中後の回復過程やリハビリの重要性について詳しく解説しています。特に神経可塑性やリハビリによる脳の回復に焦点を当てており、臨床的な視点で脳卒中後の治療方法が説明されています。
- “Neuroplasticity and Rehabilitation” by Stephen G. Waxman
- 神経可塑性に関する理論を基盤にしたこの書籍では、脳卒中後に脳がどのように回復し、修復するかについて深く掘り下げています。特に神経回路の再編成やリハビリの重要性に関する最新の研究結果が紹介されています。
- “Principles of Neural Science” by Eric Kandel, James Schwartz, Thomas Jessell
- 神経科学の基本的な教科書であり、神経可塑性や脳の修復機能についても多くの情報を提供しています。脳卒中や神経疾患後の神経細胞の修復過程に関する理論的な背景を理解するのに役立ちます。
- “Brain Repair: Neurogenesis and Plasticity in the Adult Human Brain” by David H. Blanchard
- 大人の脳における神経再生と可塑性を取り上げた書籍です。脳卒中後の神経回路再編成や脳の修復のメカニズムについても詳細に説明しています。
- “The Neuroscientific Basis of Rehabilitation” by Harold H. Epstein
- リハビリテーションの神経科学的基盤を説明しており、脳卒中後の回復過程における神経可塑性の重要性に焦点を当てています。脳の修復を助けるために必要なリハビリの方法やその効果について詳しく述べられています。
オンラインリソース
- National Institute of Neurological Disorders and Stroke (NINDS) – Stroke Information
- NINDS公式サイトには、脳卒中に関する最新の研究や治療法、回復過程に関する情報が掲載されています。特に神経可塑性やリハビリテーションに関連する情報が豊富です。
- Stroke Association – Stroke Recovery and Rehabilitation
- Stroke Associationのウェブサイトでは、脳卒中後のリハビリテーション方法や回復過程に関する情報が提供されています。具体的なリハビリプランや治療方法についても学べます。
これらの資料は、脳卒中後の神経回路の再編成や修復の過程、リハビリの効果について理解を深めるための参考になります。
みなさんのコメント (コメントは敬意をもってお願いします)
82歳の母が去年末に小脳出血しました。
今リハビリ病院におりますが、後遺障害のうち、言語障害や嚥下障害だけでも、回復してほしいと願うばかりです。
栄養療法は病院の食事のほかに何か栄養補助食品を与えたほうがよいですか。
メグビーなど。
落合様
お世話になっております。ひですけです。
ご連絡が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。
お母さまが小脳出血とのこと、心よりお見舞い申し上げます。
小脳出血は、激しいめまいや嘔吐、平衡感覚の障害、歩行困難、時には意識障害などが起こりやすく、大変な毎日かと存じます。
どうか焦らず、少しずつ回復に向かわれますよう願っております。
さて、ご質問の件ですが、脳の健康維持や回復を助ける栄養素には、以下のようなものがあります。
・オメガ3脂肪酸(青魚、えごま油、亜麻仁油など)
・ポリフェノール(ブルーベリー、カカオ、ナッツなど)
・ビタミン類全般(B群・D・E など)
・たんぱく質(ヨーグルト、ムース食、プロテインゼリーなど)
嚥下が難しい場合は、ゼリーやムース状の栄養補助食品が安心です。
また、とろみ調整食品を使って飲み込みを助けてあげてください。
さらに、高齢者に多い「サルコペニア(筋肉量の減少)」もリスクのひとつです。
これはたんぱく質摂取+軽度の筋肉刺激で予防できます。
例)
・リハビリ内の立ち上がり・足踏み練習
・口周りや舌の筋トレ(「パ・タ・カ・ラ」体操など)で嚥下筋の維持も効果的です。
メグビー(MegV)について:
メグビーはビタミンB群を中心としたサプリメントで、神経再生や代謝サポートが期待できます。
もしお母さまが食が細く、栄養バランスが偏っているようであれば、リハビリ意欲の維持にも役立つかもしれません。
ただし、他のお薬との相互作用もあるため、導入前には必ず主治医や管理栄養士にご相談されることをおすすめします。
最後に――
脳神経の再建には時間がかかります。
でも、「やれば回復する可能性があり、やらなければ筋力も機能も失われていく」というのは確かな事実です。
どうか希望を持って、焦らず根気強く支えてあげてください。
最近まとめた脳の再生医療に関する情報があります。
もしよろしければご参考ください:
➡ https://nosotchu.info/brain-regenerative-medicine/
どうぞよろしくお願いいたします。